熱分解によるバイオオイル製造

2023.08.31

  • 業界・業種:素材環境石油化学

  • プロセス:熱分解

開発における社会的ニーズ

当社は、ケミカルリサイクル(プラスチック分解)の技術開発に注力しており、これまでNEDOの助成金を活用して自社開発を進め、また多数の大手化学メーカーとの共同開発により熱分解技術を構築してきました。プラスチック分解で得られた技術を応用し、木材等のバイオマスからバイオオイルを回収する技術の開発に着手しています。


石油資源由来のプラスチックの依存度を減らすために、リサイクルと同様に着目されているのがバイオマス由来のバイオプラスチック。当社はその両方の技術開発を進めることとしました。

独自のプラスチック分解技術「PlaWave®︎」を応用したバイオプラスチック製造イメージ

スクリーニング試験の内容と結果

急速加熱でオイル収率が向上

マイクロ波で数gの杉の木片をサンプルとし、マイクロ波の出力を制御因子としてフラスコサイズで熱分解実験を実施しました。

結果として、分解時のマイクロ波出力を強くするほど、チャーの発生を抑制し、オイル収率が向上する結果が見られ、サンプル投入量に対して45wt%のオイル成分を回収できることを確認しました。

また、今回の杉の木片はマイクロ波吸収能が高く、マイクロ波吸収フィラー等を用いることなく直接加熱できることが判明しました。

オイル収率実験結果と回収オイルサンプル

マイクロ波活用の意味

マイクロ波は、伝熱面を用いることなく物質に対して直接的にエネルギーを供給することができます。そのため、急速昇温が可能となり、それによりバイオマスからオイル成分への分解反応を効率よく促す(副反応を抑制する)ことができると考えており、結果としてオイル収率の向上が期待できます。
今回の実験結果によってその仮説の裏付けを得ることができました。

今後の展望

スケールアップの実現と事業モデルの確立を

環境省は令和3年1月に策定した「バイオマスプラスチック導入ロードマップ」の中で、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入することを掲げています。
一方で、2023年時点での流通量は数万t程度に留まり、目標達成に向けては革新的な技術開発と事業モデルの構築の両方が求められています。
当社は技術開発は勿論のこと、事業モデルの構築についても主体的に取り組み、バイオプラスチックの社会実装を加速させていきます。

スケールアップ事例


資料ダウンロードはこちら