凍結乾燥

2022.06.16

  • 業界・業種:素材高機能化学医薬品食品

  • プロセス:乾燥・濃縮・脱水

開発における社会的ニーズ

時間が長く高コストという凍結乾燥の常識を覆す

凍結乾燥は、医薬品や食品など多くの製品の製造で使われており、凍結したままの状態で乾燥(*固体から直接気体となる昇華という現象)する方法です。

従来の凍結乾燥は、加熱された乾燥棚から棚上の製品へ間接的に熱が伝わります。このように非効率なエネルギー伝達に依存しているため、数日から1週間といった極めて長い時間が必要です。

しかし、熱に弱い製品は低温での凍結乾燥を使わざるを得ないため、製造コストアップや工場の生産能力低下の一因として広く問題となっています。

スクリーニング試験の内容と結果

当社は、マイクロ波をエネルギー源とした凍結乾燥機を製作し、この装置を用いて10%マンニトール水溶液 500gの凍結乾燥試験を行いました。

凍結乾燥装置

その結果、従来法に比べて乾燥時間は約4分の1以下にまで短縮できる可能性を見出したのです。時間の大幅な短縮によって、製品品質(風味など)の劣化抑制効果もみられました。

マイクロ波活用の意味

従来、棚からの二次元的な伝熱では長い乾燥時間を要しました。しかし、氷に対して直接、選択的なエネルギー供給が可能なマイクロ波を利用することで、大幅な時間短縮に成功。

凍結乾燥のイメージ(左:従来法/右:MW法)

それだけでなく、過去に培った位相制御(マイクロ波の分布を時間的・空間的に制御する)という要素技術の利用により、動かない静置サンプルでも均一な乾燥を実現します。これにより、医薬品の充填されたバイアルやインスタント食品のような製品の製造にも使える技術となりました。

位相制御イメージ

今後の展望

食品・医薬をメインターゲットとした汎用装置の販売へ

「長時間・高コスト」が長らく共通課題であった凍結乾燥。この解決により、凍結乾燥にイノベーションを起こしたいと思っています。そこで当社は、用途にかかわらず汎用的に適用できる装置技術を開発し、これを実現しました。当社は、装置販売事業を開始しております。