2025.09.29PRESS RELEASE

マイクロ波を用いた低炭素リチウム鉱石製錬技術の共同開発におけるパイロット実証試験を開始

三井物産株式会社
マイクロ波化学株式会社

三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)とマイクロ波化学株式会社(本社:大阪府吹田市、社長:吉野 巌、以下「マイクロ波化学」)は、マイクロ波を用いた低炭素リチウム鉱石製錬技術の共同開発におけるパイロット機を完成し、実証試験を開始します。

■背景
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、モビリティの電動化が一段と進む中で、電気自動車(EV)の電池に使われるリチウムは、世界各国で重要鉱物として指定*1されるなど、経済安全保障の観点からも安定した供給網の確立が求められています。また、リチウム鉱石の処理は化石燃料の燃焼熱を用いるため、製錬工程から排出される多量のCO2を削減することが大きな課題となっており、低環境負荷で製造される低炭素リチウムのニーズが高まる見通しです。

■概要
2023年6月27日に発表*2した本共同開発では、リチウム製錬におけるCO2排出の主要因となっている煆焼*3のプロセスを電化し、環境負荷の低い、世界初となるマイクロ波を利用したリチウム製錬技術の確立に取り組み、新規リチウム鉱山や製錬工場への適用を検討しています。

この度、本技術をスケールアップするにあたり、マイクロ波化学の大阪事業所(大阪市住之江区)にて実証試験を行うパイロット機が完成しました。

今回完成したパイロット機(製作:中外炉工業株式会社)

本パイロット機は、リチウム鉱石を連続で煆焼処理するマイクロ波昇温装置で、CO2排出量の大幅な削減、及び熱効率改善による省エネルギー化を実現します。今後、こちらを用いて年間約700t規模での試験を実施し、2030年頃の商業化を目指します。


■今後の展開
三井物産は、2050年ネットゼロエミッションを目標に掲げ、2030年には2020年3月期比温室効果ガスインパクト半減を目指しています。本事業を通じてリチウムの安定したサプライチェーンを実現し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 マイクロ波化学は、この新しいリチウム鉱石精製技術の社会実装を通して、カーボンニュートラルに向けた取り組みである「C NEUTRALTM 2050 design」を推進すると共に、「100年以上変わらない化学産業を革新し、モノづくりの世界を変革する。マイクロ波プロセスをスタンダードに。」というビジョンの実現を目指します。


*1 日本の経済安全保障推進法、米国のOne Big Beautiful Bill Act法等
*2 2023年6月27日プレスリリース
「マイクロ波を用いた低炭素リチウム鉱石製錬技術の共同開発契約締結」
https://mwcc.jp/news/2673/
*3 鉱石を高温で加熱して化学組成や結晶構造を変化させる熱処理プロセス


■参考

三井物産 金属資源本部
1960年代から鉄鉱石や原料炭の資源開発に積極的に取り組み、日本をはじめとする世界各地域への金属資源の安定供給に努めています。また、銅、ニッケル、アルミなどの非鉄金属の資源開発にも注力しており、最近では急速に需要が増加しているリチウムへの取り組みも進めてきました。本共同開発において、三井物産は、グローバルなネットワークと鉱山ビジネスの知見を活かし、顧客の脱炭素ニーズを掘り起こし、低炭素リチウム鉱石製錬技術の海外展開を担います。

マイクロ波化学 鉱山・金属製錬プロセス分野
2014年に世界で初めてマイクロ波を用いて加熱する大型化学プラントでの製造プロセス開発に成功しました。化学業界を始めとする様々な分野に革新的な電化プロセスを提供し、カーボンニュートラルへの取り組みに貢献しています。近年、鉱山・金属製錬プロセスへのマイクロ波技術プラットフォーム(Green Mining-MX)を構築し、マイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減に向けた新しい製錬技術の開発を進めています。



*PDFファイルはこちら
プレスリリース_マイクロ波を用いた低炭素リチウム鉱石製錬技術の共同開発におけるパイロット実証試験を開始