廃プラスチックからの脱塩素技術

2022.06.16

  • 業界・業種:環境石油化学

  • プロセス:その他

開発における社会的ニーズ

廃プラ処理における大きな課題は、いかに脱塩素化を行うかです。

カーボンニュートラル化に向けた全世界的な潮流を背景として、循環型社会(サーキュラーエコノミー)の推進が活発化しており、日本においても「プラスチック資源循環法」が2022年4月より施行させるなど、プラスチックリサイクルのニーズが急激に高まっています。

プラスチックリサイクルにおいてポリ塩化ビニル(PVC)の混入は、設備の腐食を引き起こす原因となり得るため忌避されますが、実際には混入してしまうケースが多く、そのままリサイクル工程に回すと設備劣化につながるため、前処理工程として塩素分を飛ばす「脱塩素」が必要とされています。

スクリーニング試験の内容と結果

PSを主成分とし、塩素・臭素をそれぞれ2%程度含有する廃プラにマイクロ波を照射し、脱ハロゲン性能についてスクリーニング試験を実施しました。

仕込み [g]処理後重量 [g]重量減少 [g]トラップ終了後pH
0.4994g0.4412g0.0582gpH2
0.5041g0.4647g0.0394gpH2
  • 除去されたハロゲンは、ハロゲン化水素としてトラップにて回収
  • 試験前後においてサンプルの大きな形状変化なし
サンプルイメージ

マイクロ波活用の意味

PVCの選択加熱による脱塩素プロセスの高速・省エネ化

今後の展望

ケミカルリサイクル全体を前進させることを目指します。

今回得られた結果から、マイクロ波により混合樹脂から効率的に脱塩素できる可能性を確認しております。本技術はケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルと組み合わせて使用することができると考えており、またマイクロ波照射はニーズに合わせた設計が可能ですので、現状や課題も合わせてお聞かせいただければ幸いです。