反応器設計 ーシミュレーションー

反応器設計 ーシミュレーションー

ラボ実験で最適化されたマイクロ波反応系をスケールアップするための反応器設計指針を述べます。

マイクロ波反応器は大きく2つのタイプに分けられます。1つは、マイクロ波の電磁界分散照射型であり、そしてもう1つは、マイクロ波集中照射型です。

前者は、流動床、ナノ粒子合成、後者は固定床、薄膜系などが対象です。いずれの場合でも、反応場に直接エネルギーを伝達することがキーとなります。

パイロット検証ではラボでの検証結果を踏まえ、50L〜200L程度の反応器を使った検証となります。

シミュレーション技術(流体解析、電磁界解析)を駆使し、流体の流れ、温度分布、電磁界分布などの情報を得ます。

それにより反応器形状、撹拌翼形状とその回転数、マイクロ波照射の位置などのケーススタディーを実施しパイロット設備の設計をします。

また電磁界解析と流体解析を統合し、電磁界解析で得られた発熱密度分布が流体解析により、温度分布が経時的にどのように変化していくか非定常状態の解析も実施しています。

反応器缶体の材質においては特に制限はなく、ライニング構造も可能です。また、攪拌羽根、仕切板、内部構造の材質には、マイクロ波という電磁波の特性を反映させる必要があります。

要するに、物質にマイクロ波が照射された場合、反射、透過、吸収のいずれかとなりますが、それにより反応器内の電磁界分布が大きく変わるため、電磁界設計に折り込む必要があります。

スケールアップにおいては、マイクロ波がつくる電磁界を前提とした反応器の設計が肝要です。当社では、実際の原料、中間体、生成物、溶剤などの、想定温度における複素誘電率、複素透磁率を反映させて電磁場解析・シミュレーションを行っています。

また、反応器缶体に伝達されたエネルギーの多くは熱エネルギーに変換されます。熱エネルギーは伝導伝熱、物質の移動、輻射に伴い移動します。それに伴いマイクロ波の照射対象に温度分布が生じます。対象により望ましい温度分布が異なりますので、温度分布を最適化するために熱流体解析を実施します。

反応器内の解析結果例
反応器内の解析結果例

反応器内の解析結果例

発熱分布(電磁場解析)イメージ

発熱分布(電磁場解析)

速度ベクトル分布(流体解析)イメージ

速度ベクトル分布(流体解析)

温度分布(錬成解析)イメージ

温度分布(錬成解析)

特にスケールアップ時には、小スケールの場合と比較して反応器内に温度差が生じやすく、これを適切に設計して温度分布を最適化することは、装置の能力を最大限に引き出すために重要なことです。

すなわち場当たり的ではなく、合理的な反応器設計を効率的に進めること、これこそ当社の技術です。

Ansys社の協力により、電磁波解析と流体解析を連成することで、攪拌される反応系のシミュレーションも可能です。

一方、よく問合わせがある内容ですが、現在、化学工場で使われている反応器に導波管の穴をあけてマイクロ波を照射しても、電磁界設計をしていない反応器のため、ターゲット物質への効率的・効果的なマイクロ波照射は困難なので推奨しません。

また、同技術を利用することで、外部にマイクロ波が漏洩しない安全な反応器の設計も実施しています。